丁半博打

 個人が自宅PCを使って相場で儲け続けること、それを仕事とするのは並大抵ではない。

 テニスを始めたばかりの人が錦織圭に勝つことはない。また、中学生がイチロー並にメジャーリーグで活躍することもあり得ない。

 ところが、相場の世界ではそんな非常識がまかり通ることがある。

「たまたま」がよくある世界。あるいは勝ちやすい環境というのもある。

 

 金融市場(相場)というのは不確定要素が多すぎて、スポーツなどよりもはるかにギャンブルに近い。

 

 相場に徹底的な科学的合理性を追求した時代もあった。航空工学等の専門家が金融工学などというものを編み出したとかで、こぞってウォールストリートに現れた。

 リーマンショックでは、それが禍根となった。問題となったMBS(資産担保証券)などは金融工学に依ったもの。

 1990年代後半、二人のノーベル経済学賞受賞者を擁した巨大ファンドLTCMは、巨額の債務を抱えて敢え無く破産、金融危機を招いた。

 相場に科学的合理性を持ち込むことには、程度があるようだ。

 

 デリバティブ(金融派生商品)の代表的なものは株式や通貨の先物だが、オプションというものもある。

 例えば、$¥が今後一か月で118-122¥の中にあれば500万円を貰える、117台や122¥を超えると逆に500万円を支払うというダブルノータッチというオプション。

 このゲームにおけるポーカーの親は金融機関、賭け手はヘッジファンド(HF)等だ。その金融機関はリスクヘッジのために、負けた場合のオプションもどこかでやっているかも知れない。そうすれば手数料だけは確実に入る。

 こういったオプションは普通公表されないが、噂や思惑で世間に知れることもある。するとどういうが起こるか?。短期投機筋はこれのストップをつけようと118¥近くまで下げた処でさらに下げさせようと大量に売り注文を出す。賭け手のHFはこれに対抗して買い支える。

 このように、日々相手のストップを付けようと、巨大ファンド同士の戦いが繰り広げられる。また、その動きを見てコバンザメのように参入する者もいる。

 ストップが付く水準には、買い手の大量の売り手仕舞いの注文が並ぶ。それがヒットすると一気に相場が動いて儲けが大きくなる。相手のストップ、つまり損失がこちらの儲けというわけだ。

 ゲームに相応しい単純なルールだ。

 これは、まるで丁半博打!!。・・ポーカー?。・・麻雀?。

 

 世界中の金融市場では、現物の他にこのようなデリバティブやオプションで溢れている。何のためにこんなものがあるのかというと、もちろん「金儲け」だ。

 ちなみに、世界中の実体経済で流通しているお金の何倍ものマネーが相場の世界に行き交っている。その額、為替市場だけで一日に200兆円という。

 実体経済を大きく揺るがす金融市場の原理が、バクチ・・・!!。

現物のデイトレスイングトレードで利益を上げるのも基本的に変わらない。

 

 相場占星術というものもあり、月の満ち欠けや星の逆行というもので$が売られたり買われたりで膠着相場が動くこともよくある。これは全く自然現象なのか、これを知るトレーダーが動かすのかよく分からないが、その通りになることもならないこともある。50%くらいの確立で当たるのかも知れない。統計など知らないが、印象として・・・。

 仮に45%であっても、十分に信ずるに足る数字だ。

 僕の場合、早朝の散歩で普段挨拶しない人と挨拶を交わして気分が良くなるとその日は儲かり、といったことはよくある。逆に気分が良くないことがあると、トレードを控えるべき日だ。

 

 これは「運気の流れ」と関係しそうだが、雀鬼こと麻雀の名人・桜井章一氏の著作は、アメリカの上級者向け投資のメンタル本よりも役立つような気がする。

 彼の本は投資の専門書として読むべきだろう。

 

 日本の大手銀行でも、外国為替部のチーフはその年の新入社員の目ぼしい人を次々に麻雀に誘うという。そのようにしてディーラーになり今やカリスマとなった人が、マット今井こと衆院議員今井雅人氏だ。

 

 手堅いサラリーマンしか経験のない人間が、いきなりこのような世界に入り、ネット証券の営業の話を真に受けることがどれほど危険なことか!・・。

次々新規参入する個人投資家が後を絶たない世界で、証券会社にとって何人かの顧客が減っても「へ」でもないはず・・。

 

 この5年でもFX業界は大手が次々に様変わりした。彼らもまた利益追求に余念がないのだ。この間、某大手証券のシステム障害で僕が損失を被った時も、向こうは何もしてくれなかった。下っ端のオペレーターが平謝りしてくれただけ。システムが壊れたとかで、税額控除証明も出ない有様だ。

 このような場合に備えて、キャツらは、細かい字で膨大な量の取引規定というものにチェックを入れないとログインできないようにしている。

 僕のような少額の客に冷たいが、ケタが違う大口の顧客であれば、然るべき措置が取られたかも知れない。彼らの行動原理から察するに、・・・。