賃金が上がらない
以前テレビ東京モーニングサテライトで「人手不足なのに賃金が上がらない」のテーマで、専門家やプロといった人たちがあれやこれや語り、大抵は「よく分からない」で終わった気がするが、いつも何やらむず痒い気分になった。
次に羅列する要因が賃金に与える影響について、マスコミに出る「専門家」や「プロ」から納得のいく説明を聞いたことがない。
意図的に避けているようにも思える。
多くの大企業が史上最高益という状況で非正規労働者が雇用全体の40%を超え(‘15年)、その数2千万人を超えた(’17年)
「タックスヘイブン逃げていく税金」志賀櫻の評者(佐々木俊尚)によると、世界経済の規模は7千兆円で、ある推計ではタックスヘイブンに秘匿されているお金は2千兆~3千兆円という。
立正大学の浦野広明(しんぶん赤旗日曜版‘17/7/23)によると、大企業の内部留保は前年度より7%増え400兆円超、大企業はその金で主に子会社・関連会社の株式の保有を膨らませているが、そこから入る配当等の大部分が非課税であるという。外国子会社からのそれも95%は非課税という。
実質的に大企業優遇税制となっている。
同日付しんぶん赤旗日曜版で、元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト・現法政大学教授の水野和夫は、「大企業の内部留保の半分は、働いている人からかすめ取ったお金」と述べている、・・・・。
「世界の権力者が寵愛した銀行ータックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白」の評者諸富徹(京大・経済学)によれば、EU法令すら脱税を合法化し、銀行はそれを活用したサービスで儲けていた、という。
‘14/4/1NHKBS世界のドキュメンタリー「租税回避・1兆€との闘い」で、ドイツ財務相ショイブレは、グローバル企業のタックスヘイブン利用について
「経営者は利益を上げなければ背任行為として訴えられることもある」と、これを擁護するコメントをしている。
ギリシャから端を発した€危機の折り、歯に衣着せぬ物言いで名をはせた男も、大層歯切れが悪い。
これとよく似た話が・・・。
同じ番組’13年米「ウォール街のアンタッチャブル・・・金融危機の責任者はどこだ」。
‘08年金融危機後、ウォール街の経営陣が詐欺や犯罪行為で誰も訴追されなかった。当時の刑事局担当司法次官補だったラニー・ブルアーは、NY州弁護士会の講演で
「数万人の雇用が脅かされている。訴訟が大手金融機関に与える影響を考えると夜も眠れない」と発言。
「EUの金庫番」ドイツ財務相が租税逃れの問題よりも大企業の経営を優先、犯罪行為を追求し訴追することが使命であるはずの司法の実質トップが金融機関への影響を優先する、という事実。
西側先進国がソ連と対峙していた頃、いわゆる冷戦時代、資本主義は福祉などを充実させていたが、ソ連崩壊後「お化粧」を脱ぎ捨て本性を露わにした、という。
ITとグローバル化がそれに拍車をかけた。
グローバルな総資本対、総労働・・・ではなく個別でバラバラな労働者たち。
オフショア(課税優遇地)を求めて資本が瞬時に移動、国を超えているからガバナンスがまるで効かない。
そして、大抵「グローバル企業はそうしないとグローバル競争に負ける」で議論は終わる。大企業・国・マスコミのグローバルコングロマリットによる巨大詐欺、誤魔化し。被害者は大多数の一般国民。
実は一番煽りを食っているのは貧困国(タックスヘイブン問題の第一人者ジョン・クリステンセン)、・・・という。
現在、資本主義の歪みがグローバル化によって最大化されている。